お店の裏手に周り、従業員の専用の入り口から入ると、
ひんやりとした涼しい空気を肌に感じ、
汗ばんだTシャツを着ている奥村は、
ふ~と息をついた。
「あらー奥村君~今日シフトに入ってたのおぉぉぉ。
じゃあ私、もっと丁寧にお化粧してくればよかったわぁあああああ」
従業員専用フロアで汗を引くのを待っている奥村に
中村和子は笑顔で話かけてくる。
「アハハハハ、中村さん今日も元気ですねー。
僕はこの暑さでちょっと参っちゃってますよ」
「あらーまだ若いのに、そんな事言ってー
暑さぐらいなによぉぉ、もっと暑くしてあげましょうかぁああ」
和子は腰をクネらせ、奥村の体に軽くボディタッチをする。
「いやぁ、アハハハッハ」
奥村は苦笑いをして、そろそろ仕事しなければと、
和子から離れ、更衣室に入り、制服に着替える。
昔からどうも熟女、おばさん方には、
何故か好かれると、服を着替えながら、奥村は考える。
出来れば若くて可愛い女の子に好かれたいのに、
どうも40代以上のおばさんに好かれてしまう。
おばさんに好意を持たれても困っちゃうなぁ。
制服に着替えて、店内に行こうとすると、
小太りの50代の店長の袴田陽子に出くわす。
「あらー今日お休みじゃなかったかしらぁあ」
「はい、そうだったんですけど、
塚本さんが体調悪くて、ちょっと代わりに出てくれないかって
電話きて、大学も休みで時間空いていたんで。」
「奥村君優しいわねぇ」
陽子はウットリとした目で、奥村の手の甲を触る。
「いやーアハハッハ、
それじゃ自分、レジに回ります」
「は~い、ガンバってねー」
熟女に好かれてアピールされる割に、
奥村はイマイチどう接すれば良いか分からず、
毎回苦笑いをして、その場を濁し、逃げてしまう。
何とかもうちょっと上手く対応したいなぁと思いながら、
レジを入り、お客の商品を打ち込み、淡々と仕事していく。
「6689円になりま~す」
奥村は7000円を受け取り、お釣りを返そうと
手の平に小銭を乗せ、渡そうとすると、
自分の手を握られる。
思わずビックリして、顔をあげると、
どこにでもいそうな普通のおばさんが、
奥村を見てニッコリとしている。
「奥村君ぅん」
何でわかるんだ!と訝しがると、
胸のところに名前入りのプレートを付けている事を
思い出し、納得する。
「は・・はい」
「いつもご苦労さま」
おばさんはお釣りを受け取り、
人差し指で奥村の手の平をなぞらせ、
袋詰めするカウンターへと去っていく。
やれやれ、これは僕がいけないのか。
見るからに普通の主婦って感じの
おばさんがあんな誘うような事をするなんて・・
僕がそうさせてしまっているのか。。
空いた店内で、レジ来る客も少なく、
ついつい自分の世界に入ってしまう。
「奥村く~ん品出しお願いできるかしらぁああ」
後ろを振り返ると、店長の袴田陽子がいる。
「はい」
一人で品出ししていた方が、気が楽だと
奥村は少し開放された気分になる。
店内を歩き、品出しをしようと奥の倉庫に向かうも、
一緒に袴田がついてくる。
あれぇ、自分一人で出来るのになぁと思いながらも
袴田の方を向き、目が合うと、ついついニコリと
微笑んでしまう。
倉庫に入り、ダンボール詰めされた商品に
さっそく取り掛かろうとする。
ガムテープを開け、中の商品を取り出そうとすると、
お尻に何かが当たった。
後ろを振り返ると、袴田が自分の腰を突き出し、
お尻に当てている。
「ちょっと、袴田さん何してるんですかぁあ」
驚き、ちょっと大きな声を出してしまう。
「あらーごめんなさーい、
ついつい可愛いお尻だからぁ
イタズラしたくなちゃったわあああ」
ここまでわかりやすいセクハラも無いなと、
奥村は思わず笑ってしまう。
「ちょっと仕事に集中できませんよ」
「うふふふ、店長命令よぉ」
奥村の尻を撫で回す。
「ちょっとちょっと」
熟女ならではの図太さで、
嫌がる奥村の心情を一切考慮せず、
お尻を撫でようと、手を伸ばしてくる。
「ちょっと店長~何してるのよおお」
中村和子が入ってくる。
「奥村君について倉庫に入ったと思ったら、
そんな事して、奥村君困ってるじゃないぃぃぃ」
まさか中村さんが救世主になるとは。
奥村はすがるように中村を見やる。
「あらー全然困ってないわよねー」
陽子はあっけらかんとして、奥村を見る。
いやいや、困ってましたよ!と言いたいところだが、
またもや、苦笑いをして「はぁ」とその場を濁してしまう。
「ほらねー、ちょっとしたスキンシップよぉぉぉ」
「はいはい、店長も仕事してくださいぃい」
和子は陽子の腕を持って、倉庫から出ていく。
ようやくこれで一人っきりになれたと、
ほっと胸を撫で下ろす。
しかし、八百屋のおかみさんみたいな風貌の
無神経そうな中村さんに助けられるとは思わなかったなぁ。
人は見た目じゃ判断しちゃいけないな。
奥村は品出しの仕事に集中する。
あらかた品出しも終わり、倉庫を片付けていると、
そろそろ閉店の時間になっていた。
集中していると時間過ぎるのあっと言う間だなぁ。
毎回誰の邪魔も入らず、
品出し出来たら良いのにと思いながら
倉庫を出て、店内をチェックする。
閉店の音楽が流れてきて、
今日のバイトもこれで終わりだと、
一息つくと、中村和子が話しかけてくる。
「ねー奥村君」
「はいぃ」
先ほど助けてもらったので、
以前よりも中村に親近感を感じる。
「今日ねー暑いからー
みんなでちょっと居酒屋にでも
行って飲みに行かないかって話があるんだけど
奥村君もおいでよぉおぉっぉぉぉぉお」
奥村は毎回この手の話は、
勉強があるなど理由をつけて断っていたが、
中村にフォローされた事もあって、
初めて参加する事にした。
「本当!うれしぃい、
じゃあ21時30分に駅前に集合ねぇ」
「はいぃ」
奥村は更衣室に入り、着替えてると、
何かが引っかかる。
そうだ、何でわざわざ駅で待ち合わせするんだろうか。
バイトや従業員の人が来るんだから、
駅に行く必要もないのに。
奥村は腑に落ちないものを感じながらも、
今更断る事も出来ずに、駅へと向かう。
続く
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