後10日で40歳の誕生日を迎えるタナカノボル。
大手飲料メーカーに勤める独身男。
若い頃は、女性からも人気がありモテたが、
30歳を過ぎる頃から、
頭が薄くなりはじめ、お腹も出てきてしまった。
タナカノボルは今日もくたびれたスーツを来て、
一人会社から帰宅する。
会社から駅までは、オフィス街という事もあって、
この時間はいつも駅に向かう人の波で、ごった返している。
タナカノボルもその波にあがらう事なく、
駅に向かってトボトボとあるいていく。
タナカノボルは歩いていると、ある信号をキャッチする。
またかとため息をついて、人波をかき分けるように、
ビルの隙間に入って、周囲を見回す。
誰もいない事を確認すると、Yシャツのボタンと
ズボンのベルトを解いて、グイっとさなぎから脱皮するように
脱ぐと、黒の全身タイツの格好になり、
ショルダーバッグから黒のマントを取出して、すぐさま羽織る。
全身黒タイツと黒のマントの格好になると、
腕を伸ばすタナカノボル。
そうすると、自然に体が浮き上がり、
夜の闇に紛れこんで飛んでいく。
今日は月も出ていなので、明かりにそれほど気を使う必要もなく、
上空を飛んでいる。
信号を感じる方に飛んでいっていると、
前方の大きなマンションに近づくにつれ、
どんどん信号が強くなっている。
あのマンションの住人かな・・はぁ・・
とため息をつくタナカノボル。
マンションの前に行くと、部屋の中の光に気を付けながら、
どの部屋かと探していると、左端の部屋から信号を強烈に感じた。
タナカノボルは、ベランダの上に降り立ち、
窓をノックする。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアーーーー」
部屋の中からは悲鳴が聞こえてくる。
そりゃ当然だよなぁ。いきなりベランダの窓を
ノックされたら誰だって驚いて悲鳴をあげてしまうよなぁ。
タナカノボルは一人で呟くも致し方ないと、
窓を念力で開け、部屋の中に入っていく。
部屋の中で怯えている女性を発見する。
年齢は30代中頃かなぁと少しガッカリするも、
両手を右肩の方に水平にもっていき、
ポーズをとる。
「私はセックスマン!
寂しくて、孤独で死を予感している世の女性を癒すために
宇宙性生活連合より派遣されたスーパーヒーロである!」
女性は呆然と見つめている。
「あなたの孤独で悲しいハートから出る信号をキャッチして、
僕は君を癒す為にきたんだ!」
ポーズを解いて怯えて腰を抜かす女性の前に
座りあぐらをかく。
「まぁびっくりしたでしょ。
でも安心して、変質者じゃないから、
いまどき変質者だってこんな格好して、
こんな事しないよ。
つまりね、本物のヒーローなんだよ」
女性は声を震わせる。
「ひ・・ヒーロー?・・」
「そう」
タナカノボルが女性の後ろにあるタンスに手を伸ばして、
人差し指で指す。
女性が何事かと後ろを見ると、タンスが勝手に開いて、
中から色とりどりのパンティが女性の目の前を浮かんでいる。
「ね!こういう念力使えたり出来るヒーロー。
本物なんだ。テレビアニメや昔のハリウッド映画にあったような
ヒーローなんだ。」
「そ・・それで・・?」
「う~ん、癒すっていったけど、
つまり良ければセックスしますよって事。」
この説明をする時だけは、毎回タナカノボルは少し照れて、
薄くなった頭をさする。
「い・・いやああああああああああああああああああ」
「ちょっと、ちょっと、落ち着いて。
別にレイプとか強姦をするって訳じゃないんだよ。
良ければするし、嫌ならば記憶は消さしてもらうけど、
何もしないで退散するよ。」
「いやああああああああああああああああああああああああああ」
女性は恐怖のあまりに近くにあるコップや携帯などを
タナカノボルに投げつける。
こりゃ参ったなぁと、タナカノボルは立ち上がり、
左目でウインクすると、女性は失神して倒れ込む。
ため息をついて、窓を開け腕を伸ばし、
タナカノボルは帰っていく。
続く
テーマ : 官能小説
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