目が覚めたらエルフに囲まれていた。
俺は夢かと思ってもう一度寝ようかと思ったけど、
どうやら夢じゃないらしい。
起きた俺を熱烈な歓迎で出迎えてくれる。
一体全体何か起きた全然わからないが、
歓迎してくれているのはわかる。
「うぉー」と老若男女のエルフ達が嬉しそうに歓声をあげている。
引きこもり歴26年で、今年36歳の俺。
今まで一度もこんなふうに暖かく迎え入れられた事がない。
寝起きなのに、ついジーンと感動して、
涙が溢れそうになってしまう。
俺でも生きて良いんだ。
そして生きていれば祝福されるんだ・・・と
俺は感動しつつ、起き上がり、そして立ち上がると、
エルフ達は頭を下げ、まるで神や勇者を出迎えるように
膝まづいている。
これには、ちょっと困ってしまう。
あまり期待されても、俺には何もない。
当たり前だ。
長年無職ニートで過ごしていた三十路の男に
一体何が出来るのだろうか?
胃弱な俺は妙なプレッシャーを感じて、
腹が痛くなる。
こいつらは俺を誤解している・・・
変な脂汗も額からにじみ出てきてしまう始末。
俺は完全に挙動不審になり、
周囲をキョロキョロしていると、
膝まづいて俺を崇めているエルフ達をかき分けて、
長老らしき年老いたエルフが歩いてくる。
そして、何やら俺に話かけてくるが、
全然何を言ってるかわからない。
さらに油汗が全身から出てきて、
背中にべったりとTシャツが張り付いてくる。
あぁ・・・何で異世界なんかに来てしまったんだ・・・
また俺は人だけじゃなくエルフをもがっかりさせるのか・・・
昨日の夜は普通にベッドで寝ていたはずなのに、
なんでこんな目に合うんだよ・・・
さっきまでの感動は吹っ飛び、
自分の運の無さを恨んでいると、
長老エルフが俺の腕を掴んで、
ついて来いと引っ張り出す。
俺は裸足だというのも忘れて歩き出すと、
足裏に柔らかいモコモコな感触が気持ち良い。
地面を見て見てみると、
一面藻らしき緑の植物に覆われていて、
歩くたびに足裏から心地良い感触が伝わってくる。
少しだけ気分が楽になり、長老エルフについていくと
石で作られた、いかにもエルフの住宅らしき建物に案内される。
そして中に入ると、
壁には絵と、鎧と剣が飾られている。
魔物に戦う一人の勇者の絵だ。
長老エルフは、この絵を指差し、
そして剣と鎧を指差している。
どうやら、俺に剣と鎧を着て、
魔物退治をして欲しいという事らしい。
無茶な話だが、悪くない。
さすがに30代半ばを過ぎて、
このまま引きこもり生活も限界だろうと感じていた。
だから、そろそろ死ぬのも悪くないと思って、
練炭も用意して、自宅でいつでも自殺出来るように準備していた。
そこに舞い込んできた魔物退治の話だ。
なだらかな下り坂のような人生で、
最後に訪れた人生のピーク。
魔物と戦って死ぬのも悪くないだろう。
自殺願望のある俺は、うんと頷き、
さっそくその剣と鎧を着ようとすると、
長老エルフが俺の手を掴んで、微笑む。
待て待て!勇者よ慌てるな!と
そんな表情を浮かべ、またついて来いと
腕を掴んで歩き出す。
決心した俺はもう怖いものはない!
長老エルフに従い歩いていくと、
白く大きな神殿に案内され、
中に入ると、美女と豪華な食べ物が
木のテーブルの上に用意されている。
さぁどうぞ!と長老エルフは
俺をテーブルの上座に座らせると、
両隣には美女エルフが座り、俺の膝に手を乗せてくる。
そうか!出陣の前の宴なのか!
俺は完全に勇者になりきり、
美しいエルフの肩を掴み抱き寄せる。
続く
テーマ : 官能小説
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