橋本は疲れた足取りで階段を上がっている。
「シャチョーさんシャチョーさん、今お帰り?」
顔を上げると、最近俺の住む部屋の隣に、
東南アジアから働きにやってきた女性が
Tシャツに短パン姿でたっている。
「そうだよ。今帰ってきたんだよ。」
「おーシャチョさんお疲れねー。」
「だからシャチョーでもないのに、
社長さん、って呼ぶのやめてくれって言ってるだろ」
「日本人の名前難しいねー
だから全員シャチョーさんでOKよー」
「あーそうかい、お前さんは今から出勤かい?」
「今日は生理になっちゃって、お休みよー。
だからシャチョーさん一緒に私の部屋で飲まない?」
「仕事で疲れてるんだ。勘弁してくれよ」
普段口下手な橋本も、
お国柄なのか、妙に馴れ馴れしいこのアジアから来た女性には、
ぞんざいな態度をとってしまう。
「あれー、こんな可愛い女の子と
飲む事が出来ない程疲れるかー。」
「そうだよー疲れてるんだよ」
「じゃあ可愛い私と飲んで元気だすねー」
女は橋本の手を握る。
橋本は「はぁ」と深い溜息をつく。
ここでこの外国人と押し問答をするのも面倒くさい。
「じゃあ一杯だけだぞ」
「シャチョーさん、シャチョーさん素敵ー」
女は橋本の頬にキスをする。
そしてまた橋本は、「はぁ」と溜息をつき、
自分の住む部屋の隣、彼女の部屋に引っ張られるように連れていかれる。
「シャチョーさん、どうぞー
ここ、私の部屋ね。くつろいでねー」
女はキッチンに向かい、酒とツマミを用意している。
「あー」と橋本は短い返事をし、
部屋の中を見渡すと、自分の部屋と同じぐらい殺風景。
「お前の部屋何もねーなー。」
「そうよー、何もないねー
あるのはお酒とベッドだけよー」
「何言ってるんだよ。
酔っても、俺に甘えてくるんじゃねえぞ」
「シャチョーさん冷たいねー
日本の男、皆優しくてずるいけど、
シャチョーさんだけ冷たいねー」
自分の部屋の中に座っている橋本を見つめ、
女は嬉しそうに見つめてくる。
しかし、よりにも寄って冴えない俺に、
このアジアの女は親切にしてくれるのか。
なんか下心があるんじゃないかと
つい警戒してしまう。
そして、じーっと後ろ姿を見つめていると
女は、瓶に入った黄色いお酒と
グラスを持ってやってくる。
「シャチョーさんもってきたよー」
「お前、なんだよ、その酒。
そんなションベンみたいな色の酒みたことねえぞー」
「あれーシャチョさん、私の名前はお前じゃありませんよー
ピピンって呼んでよーシャチョさん」
「じゃあお前も橋本って俺の事呼べよ」
「ハシモト」
「そう、それから橋本と呼べよ」
「わかったーハシモトー」
これはこれで、何かムカつくが、
それよりも黄色いお酒が気になってしまう。
「おいこの酒なんだよ」
「これ?これはーわたしの国で有名な
ポッポンってお酒」
「ポッポン?」
「そうよーハシモトー、私の国では皆飲んでる
ほら、ハシモトも飲んでみるー」
ピピンはグラスに黄色い液体を注ぎ、
橋本に手渡す。
「ほらー乾杯ねー」
「大丈夫かよこれ・・・」
「いけるいけるーハシモトいけるー」
ピピンは上機嫌にグラスを合わせ、
グビグビと飲み干す。
それ見た橋本も恐る恐るグラスに口をつけ、
少し口の中に含ませれると
芳醇なフリーティな香りが広がってくる。
「でしょー、おいしいでしょー」
ピピンは嬉しそうに見つめてくる。
続く
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