裁判所からルミは笑顔で出てくる。
第一審判決で「有罪」が確定し、安堵する。
これで今後私の漫画がネットで無断でアップロードされる事はないわ。
ルミは軽やかな足取りで、裁判所の門を潜ると
一斉にフラッシュが焚かれる。
「ルミさん、あなたが書いた同人漫画「性お父さん」が
無断でアップロードされ、
今回著作権法違反で勝訴しまたしたが、
どんな気持ちですか?」
インタビュアーがマイクをルミに突きつける。
ルミはパニックになり、逃げるように駅に向かい歩き出す。
「ルミさん一言お願いします!
「性お父さん」の権利を守りましたね!
同人エロ漫画界に一石を投じた気分をお願いします。」
インタビュアーの小太りの男はうれしそうに話しかけてくる。
「ちょっと写真はやめてください!」
ルミは立ち止まり、撮影している人たちに注意する。
「ルミさん一言お願いします。」
フラッシュはなおも焚かれ、
インタビュアーの男もしつこく話しかけてくる。
ルミはこのままじゃマスコミの餌食になってしまうと、
まるで犯罪者のように走って逃げる。
駅に着き、改札口を抜けるとようやくマスコミも
追いかけるの諦めて、ホッと一息つく。
もうどっちが被告かわからないじゃない!
何で私がこんな目に合うのよ。
イライラしながら、駅のフォームに立ち
電車を待っている。
ふと隣を見ると、学生の集団がいる。
スマホを片手に何か言い合っているようで、
楽しそうな雰囲気だった。
学生は気楽でいいわね~と、
嫉妬混じりのキツイ視線を投げかけると、
一人の女子と目が合ってしまう。
女子学生はハッと驚いた表情をして見つめてくる。
やばい・・
睨みつけたと思われたかなぁ?
ルミはごまかすように、
視線を遠くにうつし、巨大なビルディングを見る。
もう学生はこっち見てないかなと、
視線をおくると、他の学生までルミを見ている。
え?何?一体なんのよ?
ルミは不安になり、私の後ろに有名人でもいるの?と
周囲を見渡すも自分一人しかいない。
そしてもう一度学生たちの方に見やると、
ルミを蔑むような目で見てるい事に気づく。
一体なんのよおおおおお
ルミは叫びそうになるが、
我慢して、彼女らが逃げるように、
学生がいる方向とは反対側に歩き出す。
そして、駅構内にアナウンスが鳴り響き、
電車がやってくる。
電車の中に入ると車内は空いていて、
乗客はほとんどいない。
丁度ドア側の端の席が空いているとので、
腰を下ろす。
バッグからペットボトルのお茶を出し、
飲んでいると、目の前に座っている男性が
びっくりしたようにこちらを見てくる。
え?何?
何でみんな私を見て驚いたような顔するのよぉ。
ルミは問いただす勇気も無く、
下車する駅まで俯いてやり過ごす。
一体何が起きているのかどんどん不安になり、
鼓動が早くなり、冷房がよく効いた車内で
汗が吹きでてくる。
ようやく自分の家がある駅について、
降りた頃には、青ざめながらも、体中は汗びっしょりで
気持ち悪い感触が肌を包んでいた。
いても立ってもいられない気持ちになって、
駅から出ると普段は使わないタクシーに乗り込み、
すぐさま家へと戻る。
そしていつものように、
すぐさまPCをつけて、
インターネットに接続する。
いつもの日常を取り戻して、
落ち着こうと毎日見ている巨大掲示板にアクセスする。
そしてあるスレッドがルミの目に入ってくる。
「同人漫画「性お父さん」の作者が予想外に可愛い件wwwwwwwwwwwwww」
ルミは唖然としてしまう。
一旦引いた汗がまたどっと吹きでてくる。
スレッドをクリックしてみると、
裁判所の前で狼狽えているルミの画像が貼られていた。
すぐに何が起きているのか理解したが、
どうすれば良いのかが一向に思いつかない。
どうしようと、不安で吐き気まで催してくると、
玄関のチャイムが鳴る。
インターホンを取り、相手を確かめると
昔から仲の良い友人のアキラが立っていた。
まるで藁にもすがるような気持ちで
玄関を開け、アキラを部屋に向いれる。
「おい、ルミ~「性おとうさん」凄いなぁ~
あんなHな変態漫画書いているなんで知らなかったよぉ~」
アキラはニヤニヤして話しかけてくる。
続く
テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト