僕は何がネタになるモノはないかと
街へと繰り出して行く。
お盆なので街は閑散としていると思いきや、
意外に人が多い。
帰郷して来た人や旅行者でいつもより華やかにすら見える。
多くの家族連れや恋人達が楽しそうにしている姿に
胸糞が悪くなり、僕は喫茶店で小休憩しようと、
目についた喫茶店に入る。
外観とは裏腹に店の中は結構広く、
木目を基調としたレトロな雰囲気の店内だった。
僕は店の奥の光が微妙に当たらない
薄暗い席に腰を下ろす。
店員がすぐさま近づいてきて、
ご注文はお決まりですか?と聞いてくる。
今来て座ったばっかりのに
注文きまってるはずないだろと
「決まったら呼びますから」と
冷たく言い放つ。
メニューを手に取り、
僕は一番最初に目を通したのが
デザートの欄。
バニラアイス、チョコアイス、
そしてケーキ各種とパフェがある。
これは良い店だと、僕はさっそく店員を呼ぶ。
「チョコパフェとアイスティーで」
「かしこまりました。」
真っ白なシャツに黒いズボンを履いたシックな店員は
笑顔で微笑み、帰っていく。
僕は早くこないかなと、ワクワクしていると、
隣の席に36歳ぐらいの地味な女性が一人座ってくる。
店内は閑散としているのに、
わざわざ隣の席に座る事もないのにと、
チラっと目を向けると目が合ってしまう。
僕はちょっとドキっとしながらも
微笑んでみる。
女性は僕を無視するように腰をかける。
悪くない。
簡単に愛想を振り向かない女性に
僕は好意を抱く。
「チョコレートパフェとアイスティです」
いつの間にかテーブルの前に店員が立っていて、
テーブルの上に美味しそうなデザートを置いてくれる。
「ありがとう」
僕はさっそくパフェに手をつける。
ムシャムシャとパフェを食べ、
先ほどの気になる女性をチラリと目をやると
こちらを見ている。
「美味しいですよ。」
「そうですか」
女性は僕の問いかけに反応してくれた。
ややハスキーな声で色気がある。
僕は一気にパフェを平らげ、
アイスティーで喉を潤す。
そして女性に話しかける。
「あのー」
「何ですか?」
女性は無表情にこちらを見る。
「モデルになってくれませんか?」
「はい?」
「僕はエロ小説を書いているんですけど、
そのモデルになって欲しいんです」
「ちょっと意味がわからないんですけど・・」
「確かに、そうだ、
じゃあまずあなたもこちらの席に来て、
お話しませんか?」
「でも」
「誰かと待ち合わせですか?」
「そういう訳ではないです」
「僕が怪しい」
「はい」
「確かに、怪しい、でも悪い人間じゃないですよ。
エロい小説を書いているだけです。」
「エロい小説ってどんなの何ですか?」
やはり食いついた。
こういう地味な30代半ばの女性は
性欲を持て余している。
家では変態チックなオナニーしてる確率が凄く高い。
「どんな?そうですねー。
たとえばこのパフェを食べたスプーンで
あなたのオマンコの愛液や澱物をすくい上げてで
ペロリと舐める!
そんな感じです!」
僕はスプーンを手にとり
女性の方に向ける。
「はぁ」
「どうでしょうぅ?」
「どうでしょうって、
モデルって何するんですか?」
「エロいイメージを喚起させてもらうんです。
あたなは私好みの素敵な女性だ。
僕のエロいイメージを膨らませてくれる。」
地味なこの女性は数ヶ月前に美容院に行ったきり、
髪を切ってないような中途半端な長さの髪を
指で梳いて考えている。
僕はじっと女性を観察する。
ちょっと一重の切れ長な目に、
幸の薄そうな唇。
顔はやや小さく、なで肩。
「そういえばまだ注文してまんよねー。
店員さん呼びましょうか?」
「は、はい。お願いします。」
僕は彼女の代わりに店員を呼ぶ。
「あのーフルーツタルトとコーヒーお願いします。」
「かしこまりました。」
店員が去っていくと、
女性はグラスに入った水を口にする。
「例えば今口に入った水を
口移ししてくれる。
そんなイメージが君にはある。」
「はぁ」
「こちらにどうぞ!」
僕は立ち上がり、女性に手を差し伸べる。
少し迷ったあげく、女性は僕の手を握ってくれた。
僕は彼女にソファを譲り、
向き合う形で椅子に座る。
「フルーツタルトとコーヒーお持ちしました。」
店員は女性が僕の所に席が変わった事を
おくびにも出さず、スマートに接客してくれた、
「頂きます」
女性は小さい声で言う。
きっとこの女性はいつも家で一人で食べる時も
頂きます、ごちそうさまと小さい声でいい
細々と食事をとっているのだろう。
「美味しい?」
「はい、美味しいです」
女性は淡々と答える。
続く
テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト