愛する綾ちゃんと見知らぬ男性が股間を触り、
挨拶したことに村中はつい怒鳴ってしまいました。
村中さんもこれはヤバイ!と正気になり、
エヘヘヘヘとごまかすように笑いました。
「冗談だよぉぉー。
ちょっと他の国の人のマネをしただけなんだ」
「大丈夫ぅ?」
綾ちゃんは心配そうに村中さんを見つめました。
「うん、大丈夫だよー。ジョーク、ジョーク!」
冷や汗をびっしりかきながら、
なんとかこの場をやり過ごそうと必死でした。
「そうそう、最近官能の国では、
そういうの流行っているんだよねー」
綾ちゃんの同僚の男性が、
フォローするように繕ってくれます。
「ふ~ん、そうなんだぁ」
腑に落ちない綾ちゃんでしたが、
そのまま三人は歩き出しました。
ぎこちない雰囲気のまま会話も弾まず、
村中さんは途中で二人と別れ水道局に向かいました。
村中さんも今回の出来事に
自分でもびっくりし、
このままじゃ危険だと肝を冷やします。
まずい・・・
これが恋なのか・・・
綾ちゃんが他の男性と股間を触りあう度に
頭がおかしくなりそうだ・・・
悶々としながら職場に入ると、
先輩の美代子さんが既にいました。
二人は軽く股間を触り合うと、
美代子さんは心配そうに見つめてきます。
「村中君大丈夫?」
「はい・・」
「何か凄いつらそうな顔しているわよ」
「はいぃ・・・」
「うーん、ちょっと待ってて」
美代子さんは自分の席に戻り、
カバンを手にとると、村中さんを引っ張って外に出ました。
幸いまだ他の職員はまだ来ていなかったので、
誰にも見られる事なく、
美代子さんの車に乗り込みました。
美代子さんは車を発進させると、
早朝からでもやっている喫茶店に向かいました。
お店に到着し、中に入ると、
奥の席に座り、コーヒを頼みました。
「さて何があったの?」
「愛しちゃったんです・・」
「そう、村中君も愛をしっちゃったのね」
「はい・・」
「愛する女性が他の男性と挨拶するのが嫌でしょうがなないのね」
「そうなんです・・」
「私も20年ぐらい前にその事でたくさん苦しんだわ」
村中さんは顔を上げ、美代子さんを見つめました。
「美代子さんにもそんな時期が・・」
「アハハハッハハ、
今にも泣き出しそうな顔しているのに、
そんな減らず口を叩けるのね。
案外タフね」
「いや・・・本当に困ってて・・
美代子さんどうすればいいんですかあああああ」
「慣れなさい、私を含め他の人はそうやって生きてきたのよ。
そして結婚して、家庭をもっても状況が変わる事はないのよ。」
「僕に・・出来るでしょうか・・」
「やるのよ。無理なら国から追放されちゃうのよ」
「じ・・自信がありません・・」
「じゃあ官能の国から出なさい。
その女性と他の国に行けば、
股間を触りあったりすような挨拶はないわよ。」
「それしか無いかもしれまんね・・」
美代子さんは時計に目をやりました。
「そろそろ戻るわよ。
あまり遅くなるとうるさいぃ。」
「はい・・」
「ほらシャキっとして!」
美代子さんは立ち上がり、
村中さんの股間を握ります。
しかし村中さんのオチンポはピクリとも
反応しません。
もう綾ちゃん以外の女性を抱く気は無くなってしまったのです。
「これは重症ね」
美代子さんはため息をついて、
村中さんを促し、店を後にして、
水道局に戻りました。
既に外回りに行っている職員も多く、
数人と股間を触り合い挨拶をして、
自分の席に着きました。
その日村中さんは全然仕事に身が入りませんでした。
水回りの修理を数件行き、
その度に股間を触られ、
また誘われもしましたが、
全然セックスをする気にもならなく、
淡々と修理をこなし、そそくさと後にしました。
気が重いまま、仕事を終わらせ、
綾ちゃんを迎えに図書館に行きます。
中に入るとカウンターには綾ちゃんがいません。
どこにいるんだろうかと中を探してみると、
奥の方から喘ぎ声が聞こえてきました。
挨拶しているんだなぁ思って耳を澄ましてみると、
その喘ぎ声に聞き覚えがありました。
村中さんは一気に理性が吹っ飛び、
声の方へと走りだしていました。
そして奥の本棚を右に曲がると、
バッグで突かれている綾ちゃんと目が合いました。
「洋次ぃぃぃいぃっぃぃ」
綾ちゃんは村中さんに気がつくと、
気持ちよさそうに声を出し、
村中さんの名前を呼びました。
「お!彼氏さんかな?
挨拶させてもらってますう!」
パンパンパンパンパン
軽快に腰をふりながら、
男は村中さんにニッコリと微笑みかけました。
その瞬間村中さんは我を忘れ、
男に殴りかかってしまいました。
村中さんに殴られ倒れこむも、
男に馬乗りになって、顔をボコボコに殴り続けます。
すぐさま騒ぎに気づき、誰かが通報してしまい
官能警察官が現れました。
驚いて呆然としている綾ちゃんも
その時ようやく事の重大さを認識しました。
「洋次ぃぃぃ、何でぇええええ」
村中さんは警察官に取り押さえられて、
連れていってしましました。
嫉妬による暴行という事で
すぐさま国外退去の手続きが行われてしまいました。
これで全部終わった・・・・
綾ちゃんを失ってしまった・・・
でも避けようがなかった・・・
今回我慢出来ても、いつか僕は今日と同じことをしていただろう・・
悲しみよりも諦めに似た感情に支配され、
刑務所で一人うなだれていました。
そしてとうとうその日がやってきました。
刑務官に連れ出され、車に乗せられました。
車はどんどん進み、国境に近づくと止まりました。
ドアが開き、村中さんは外に出ます。
そして出入国管理事務所に入り、
事務的な書類を捜査官が提出しました。
そして退去の際に、司法機関により管理されていた村中さんの財産の内、
3割だけが現金化され村中さんに手渡されました。
村中さんは出入国管理事務所を出て、
国境を渡りました。
もう官能の国へには生涯戻れない。
知らぬ内に涙が溢れていました。
村中さんは涙を流しながら歩いていると
一件のコーヒーショップが見えてきました。
中に入る気にはなれず、通りすぎようとすると
ガラっと音を立てて扉が開きました。
「洋次!」
綾ちゃんがそこには立っていたのです。
「あや・・ちゃん・・・」
「洋次!一緒に行こ!」
綾ちゃんは泣き腫らした洋次の手を取りました。
村中さんは泣きながらも笑いが溢れてきます。
「なんで・・・」と言おうとすると、
そっと綾ちゃんは村中さんの口に人差し指を当てました。
そして村中さんの頬にキスをしました。
「洋次、どうやら私も本当に好きになっちゃったらしいわ」
綾ちゃんは村中さんの手を引いて、
遠くに見える町へと歩いていきました。
終わり。
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