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そして僕は同僚たちに、
冷たい目で見られながら仕事をし、
光子課長に連れられて退社したのだ
「光子さん、どこに連れてってくれるんですか~?」
「あんたねー何度も言ってるけど、
何なの?その光子さんって
私はあんたの叔母でも親戚でもないのよ!!」
「はぁ、すいません・・」
「もういいからついて
黙ってついてきなさいいい」
プンプンと怒っている光子課長
今日も何回も怒鳴らせてしまった・・
でも、こうやって僕を飲みに
連れて行ってくれるんだから
悪い上司じゃないんだ
本当はとっても優しい世話焼きの女上司
僕は光子さんをいたわるように見つめながら
歩いていると
「ここよ」
と焼肉屋さんに入って行ったのだ
僕らは向かい合うように
席に座り、店員がメニューをもってくる
「光子課長、知ってます?」
「何がよ!」
「焼き肉食べに行くカップルって
もう体の関係あるって言うらしいですよ~
僕らもそう見られてますかね~」
「あんた、私を馬鹿にしてんの?」
「いやっ違いますよ。とんでもない
光子さん、綺麗だし、
僕みたいなのが彼氏と思われちゃって
僕にとっては嬉しいけど、
光子さんには悪いかなーって思って」
僕がそう言うと、光子さんは頭を抱えるのだ
「はぁ・・後藤くん、
あんた一体なんなのよ
何度怒っても光子さんって呼ぶし、
それに私、結婚して夫もいるのよ?
何?あんた上司である私を口説いてるの?」
「口説いたら落ちてくれます?」
「はぁあああ?
あんた自分が何言ってるのかわかってんのおお?」
「ちょっと光子さん、落ち着いてください
他のお客さんに迷惑ですよ。
軽いジョークですよーそんな本気ならないでー」
「あんたのジョークは全然面白くないし
イライラするだけなのよ」
光子さんはドッと疲れたような顔したのだ
「さぁ光子さん、気を取り直して!
光子さんビールでいいですか?
テキトーに僕頼んじゃいますね!」
僕は店員を呼び寄せ
注文をする
そして、ビールがテーブルに置かれるのだ
「光子さん、
仲直りの乾杯しましょうよ」
「後藤くん・・・」
「はい?なんですか?」
「もういいわよ!ほら
乾杯よ!飲まなきゃやってられなわいよ」
僕らはグラスを合わせ、ビールを飲みだした
光子さんもビールを半分ほど
少し酔ったのかリラックスした表情をしてくる
そしてお肉が運ばれてきて、
僕はそれを光子さんの為に焼くのだ!
「光子さん!どうぞ!
美味しく焼けましたよ!」
僕が光子さんのお皿に乗せると
光子さんは次々と食べていき
お酒をどんどん注文していくのだ
「あんたもしっかり食べなさいよ」
「では、僕も頂きます!」
お肉を頬張りながら
光子さんを見ると、
訝しげな顔をして見つめてくるのだ
「後藤くん、反省してるの?」
「何がですが?」
「何がって、もう本当に嫌・・
昨日の山田部長の事や、今日私が怒ったことよ」
「あぁーそれならしてますよ
でも僕、ヨイショが下手なんですよ
僕が相手を褒めようとすると
大概怒り出すし
どうしたら良いんでしょうね?」
「でしょうね?じゃないわよ
他人事みたいに言って。
ちょっと練習してみなさいよ」
「ヨイショのですか?」
「そうよ、あんたこのままじゃ
クビになるわよ
接待の度に、相手を怒らせてるんだから」
「光子さん優しいですねー
僕に付き合ってくれるなんて」
「好きで付き合ってんじゃないわよおおお
あんたが不始末起こすと、
私まで迷惑がかかってくるのよおお」
どうやらまた怒らせてしまったらしい
「わかりました!じゃあヨイショしてみますね」
僕はビールをグビっと飲み
そして光子さんを見つめる
「ヨッ!家では旦那を尻に引き、
会社では部下を尻に引く
かかあ天下の男殺しの女上司!」
「ごっごっ後藤おおおお!!!!」
「ちょっと待ってください!
調子が出てきましたよお!
ヨ!にくいね~家では亭主を泣かせ、
会社じゃ部下を泣かせる
男泣かせのイイ女!ヨッ!」
どんどんエンジンが温まってくるの感じる
これなら最高のヨイショが出来るはずだ!
「ヨッ!こんなイイ女が外で働きゃ
亭主は、心休む暇がない!
毎晩チョメチョメでお熱い夫婦の夜!
夫を虜にさせて、浮気知らずの亭主だよ!
ヨ!イイ女!」
僕は会心のヨイショが出来たと、
光子さんを見ると、
何と・・泣いているのだ・・・
「光子さん?・・
感激して泣いているんですか・・?」
「馬鹿・・そんなはずないでしょうがあ
どこをどう見たら、そう見えるのよおおお」
「じゃあ何でですか?」
「そんな事、あんたなんかに言いたくないわよ」
「もしかして・・旦那さん
浮気してるんですか?」
「あんた、何でそういうところだけ
鼻が利くのよ」
光子さんは泣きながら怒った顔をして
お絞りを投げてくる
「こんな、綺麗な奥さんを裏切るなんてー
旦那さん酷いなー」
「もう馬鹿みたいなヨイショはやめてえええええ」
「いや、本心ですよ!
こればっかりはヨイショじゃありませんよ!」
「もう、何なのよ・・あんた・・
責任とりなさいよおおお」
「責任たって・・・」
「慰めなさいよおおお!!」
「光子さん酔ってるんですか?」
「そりゃそうよ。
あんたみたいな馬鹿と酒飲んで、
教育しようとしてるんだから
素面じゃいられないわよ
酔ってるわよ!!悪いのおお?」
「いいえ、とっても魅力的ですよ」
光子さんの泣き腫らした顔を見つめると
目がトロ~ンとしている
そして、光子さんは立ち上がると、
僕の腕を引っ張って、会計を済まし
外に連れ出されるのだ
「光子さん、僕もお金払いますよ」
「どんだけ私を馬鹿にすればいいの
あんたみたいに新人の馬鹿から
お金受け取れるはずないでしょうがあ
いいからついてきなさいぃいい」
光子さんに腕を捕まれ、
ネオンの光で綺羅びやかなラブホ街についたのだ
続く