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無職、そして引きこもりの俺は今、
名門お嬢様学校の私立「可憐清純女学園」
の敷地に一歩踏み入れた。
事の発端は妹だ。
妹がこの私立「可憐清純女学園」の生徒なのだ。
うちの家は、そこそこに裕福な家庭で、
妹は中学校の時からこの学校にお世話になっている。
一方の兄、そう俺は、
地元の中学に進学し、
中学1年生の10月に学校を行くのを放棄したのだ。
イジメとか、体罰とか嫌な事があったわけではない。
中学校なんて馬鹿らしい!という
思春期にありそうな中二病的なものでもない。
ただ、なんとなく、行かなくてもいいのかな?
う~ん、学校も面白いけど、
行かないのもアリなのかな?
ぐらいの軽い気持ちで、通学を放棄したのだ。
その時の両親の狼狽えっぷりは
なかなかのものだった。
特に母が、ヒステリックを起こし、
何で行かないのかと絶叫しながら聞くもんだから
「う~ん、行かないのもアリかな?」
って正直に話したら
号泣しだしてしまった。
そして、気づいたら
俺は放置され、両親は妹を溺愛し、
兄のようにはならないようにと、
中学受験をさせて、お嬢様学校に入学させたのだ。
俺は今20歳、成人を迎え、
毎日引きこもって本を読んだり、
ゲームをしたり、
たまに、外に出て散歩をしたりと
まるで老後のような生活を送っていた。
自分的には平穏な生活に満足していたが、
妹が成長し、女子中学生になった頃から、
俺に対してやたらと文句言うよになったのだ。
「お兄ちゃんが、引きこもってるから、
友達を家に呼べないじゃん。
さっさと学校行くなり、
働くなりしっかりしてよ。
それに、もうちょっと身なりどうにかしてよ。
もうやだあああああ、
お母さ~ん、お父さ~ん」
思春期の多感な時期に
引きこもりで、ボロボロの格好した
兄が家にいるといのは辛いのだろう。
しかしだな!妹よ!
これは俺の人生であって、
お前の人生ではない!
いくら妹の為だからといって、
俺は自分を変えるつもりはないんだ!
妹から見たらダサくて、キモい格好した
ボサボサ頭の兄に見えるかもれしないが、
兄の俺から見たら、ガキの癖して、
最近色気づいて、今のお前のが危なっかしいぞ!
一回、そう妹に説いてみたが、
分厚い雑誌を投げられ、
「出て行け!」
と怒鳴られてしまった。
まぁそれから妹も
俺に何も言わなくなったのだから
何かしら得るものがあったのだろう。
このまま隠居したような優雅な生活が
続くと思っていたが、
そう、妹が16歳になり、
女子高生になり、初めて家に
学校の友達を呼んだ時だ。
「絶対自分の部屋から出るな!」
と妹のみならず、
両親からも釘を刺されたその日。
俺は、大人しく自分の部屋で
本を呼んでいたんだが、
突然おしっこをしたくなったのだ。
いくら部屋から出るな!と言っても
おしっこなら致し方ないだろう。
自分の部屋から出て、扉を開け、
廊下に出ると、見知らぬ可愛らしい女の子が
立っているのである。
ほーう、妹の友達だな!
俺は
「こんちわ」って言おうとすると、
突然
「きゃああああああああああああ」
って叫び声をあげたのだ。
「どっどうしたのおおおお」
奥の部屋から妹が飛び出て、
廊下に立っている俺を見つけると
泣き出してしまったのだ。
「ちょっと待てよ
トイレに行こうとしただけだよ
だって自分の部屋でお漏らしするって
さすがに無いだろ?
引きこもりで、無職だけど、
さすがにお漏らしするようになったら
ヤバイでしょ!
お前もそんな兄貴嫌だろ?」
俺は冷静に説明したつもりだが、
事態は、さらに悪化して、
母親まで登場して、
険悪な雰囲気に包まれてしまった。
しかし、俺を見ただけで
叫び声をあげるって、
さすがの俺も少し傷ついてしまう。
俺は久しぶりに落ち込みながら
「漏れるから、トイレに行くよ」
っと母親や妹たちを残し、トイレに行った。
そこで改めて自分の事を鏡で見てみたけど
うん、こりゃ酷い
寝ぼけまなこに、ボサボサ頭。
散髪も鏡も見ずに、
自分でしているので、
恐ろしい事になっている。
それに青白い顔に無精ひげが生え、
ヨレヨレのトレーナー。
こりゃ10代の清楚な女の子なら
絶叫するのもしょうがない。
そうか、俺の存在は
お嬢様を絶叫させるのか。
そう思うと、何だか道化になったみたいで
楽しくなってきた。
トイレから戻ると、
もう廊下には誰もいず、
平和な日常に戻ったと思っていんだ。
でも翌日、俺の存在が
妹のクラスのみならず、
学校全体に知れ渡り、
妹はのけ者にされ、
虐められるようになってしまったのだ。
そして、妹も学校に行かなくなり、
不登校に。
その時の、
悲壮感漂う両親の落胆する姿を見ていたら、
ふつふつと熱い思いが湧いてきたのだ
よし!しょうがない!
こうなったのも俺のせいだ!
妹の為に人肌脱ぐしかない!
俺はそう思い、今、
私立「可憐清純女学園」の敷地に
一歩踏み入れたのだ。