中華料理店「白眉」に入り、
僕はそっと椅子を引き君をエスコートする。
店員がカタコノの日本語でメニューを持ってきて、
お冷を出してくれる。
「ここは一体何が美味しいの?」
「酢豚だな。ここの酢豚は他のお店と違って、
黒酢を使った酢豚で一味違うんだ。」
「へー私黒酢の酢豚食べた事ないや~」
「じゃあ今日が記念日だね。
初めて出会った男性と初めて黒酢の酢豚を食べた記念日」
「そうね。」
君は頬杖をついて楽しそうに僕を見つめる。
「例えば今僕が君に口付けをしたら、
君は怒るだろうか?」
君はきょとんと僕と見つめて笑う。
「一体急に何をいってるのよ。
まずは食べましょう。
私お腹ペコペコなのよ」
「たしかに僕もお腹が空いた。
店員さ~ん」
店員が僕らの元へ歩いていくる。
「ハーイ、ナニニスルカネ」
「酢豚とペキンダッグと中華スープと
チンジャオロースとチンタオビール」
「ハイ、ワカリマシタネ」
「わー、ペキンダッグも頼んだんだー。
楽しみー。」
「君をびっくりさせたくて頼んだのさ。」
そして僕らは会話をして、
素敵なひと時を過ごしていると、
料理が運ばれてくるんだ。
君は黒酢の酢豚を一口食べると、
満足そうに頷く。
どうやら君は僕と味覚が似ているようだ。
これってとっても大事な事なんだ。
僕が美味しいって思う食べ物を
君も美味しいって思えるなら、
これからもっと楽しく過ごせるはずさ。
「どうだい、おいしいだろ?」
「うん、とってもおいしいわ」
どんどん料理が運ばれてきて、
食べるのにお互い夢中で会話は少なくなったけど、
とっても親密になれた気がする。
ペキンダッグの最高に美味しくて
君はペロリと平らげた。
お皿は全部綺麗に無くなり、
お腹が膨れ、デザートに杏仁豆腐を頼んだんだ。
「ほら、最後に杏仁豆腐がきたよ。」
「もうお腹一杯だけどこれは別腹ね~」
君は真珠の色をした杏仁豆腐を口に運んで、
目を輝かせる。
「本当にこのお店美味しいわ。
連れてきてくれてありがとう。」
「いやいや、僕の方こそ感謝だよ。
中華料理って一人じゃなかなか行けないからね。
君みたいな素敵な女性と一緒に来れて、
楽しく食事出来たんだから」
「まぁ、あなたって謙虚なのね。」
「そうだなー。僕のモットーは出会いと感謝だからね。
人から見れば謙虚に見えるからもしれない。
でもそのお陰で君とも出会えたんだから、
謙虚でいることも悪くは無いね。」
僕はちょっと残ったビールを飲んで、
君の手元に視線を移す。
「さて、僕らは食事をして仲良くなれた訳だけど、
出来れば僕はもっと君と親密になりたいんだ。」
「親密?」
「そう、お互いをもっとよく知るべきだと思うんだ。
おかしな事だけど、君は僕の名前すらまだ聞いていない。
だから僕も君の名前を聞かなかった訳だけど」
「そうね、私の名前はユカ」
「僕の名前はトオル。
不思議な感じだ。
僕らは既に一緒に楽しく食事をした仲なのに
今始めてお互いの名前を知ったんだ。」
「トオル、あなたは一体私に何を求めているの?」
僕はユカに何を求めているのか?
空になった緑色のチンタオビールを見つめる。
求めるもの。
セックス、そうセックスだ。
僕は今何を求めているかはっきりと理解して君に伝える。
「セックス!僕は君とセックスしたい!」
「なかなか下手な誘い方ね」
「確かにそうかもしれない。
でもね今までセックスしたいって口説かれた事あるかい?」
「ないわね」
「だろ、つまりだね僕が言いたいのは、
ただ単に性欲の捌け口としてセックスをしたい訳じゃなく。
君を強く求めているって事なんだ。」
「他の女性じゃなく私だからしたいって事?」
「ビンゴ!その通り。
僕が今求めるものはただ一つ。
君とセックスする事だけなんだ」
「うむ、寝てみる?」
「そうこなくっちゃ!」
僕はユカの手とって会計を済まし、
ホテル街に直行する。
続く
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