10年ぶりの外の空気
一歩外に出た瞬間、まず気づいたのは
股間の違和感
興奮しすぎていたのか
射精したのも忘れ、
着替えもせずその出てきてしまったのだ
ネバネバと股間が気持ち悪い
俺は立ち止まってしまう
一旦戻るべきか・・
それともこのまま行きべきか
じっと考えながら遠くを見つめると
ふっと視界が揺らついてくる
な・・なんだこれは・・
ふらっと倒れそうになり、
壁に手をつける
そしてゆっくりと周囲を見渡すと
ゆらゆらと視界が定まらない
酔った・・
そうか・・外の景色に酔ってしまったのか
ふわふわと体が浮つき
まっすぐ歩けない
べたつくような汗を全身にかいて
シャツが体にはりついてくる
しかし、その感覚も満更悪くない
まるでどこかお伽の国にでも来た気分だ
これが引きこもり生活によって
持たされるなら満更無駄ではなかったとすら感じてくる
俺はまるで酔っているように
軽い陶酔感を感じながらゆっくりと
そして、フラフラと歩きだしたのだ
時たま人とすれ違う度、
つい相手の顔をじっと見つめてしまう
この世には色んな人がいるんだなーと
早足で歩いているが
どこに行くのだろう
何しに行くのだろう
そんな疑問が湧いてくる
そして、10分ぐらい歩いたぐらいだろうか
徐々に体が外の世界に慣れてきたのか
寒さを感じはじめたのだ
気づけば俺はTシャツで
外に出てきてしまっていたのだ
道行く人は皆長袖を着ている
まだTシャツで外に出るのには
早いようだ
そうか、まだTシャツじゃ早いか
俺はふっと自嘲的に笑ってしまう
そして寒さを感じながらも歩き
ようやく駅つくと、まるで何かイベントでもあるのか
大勢の人が行き交っている
俺はあまりの人の多さに驚きながらも
近づくいていくと、皆急ぎ足で駅に入っていったり
ビルの方に歩いていったり、様々な方向に
人が歩いている
皆、よくぶつからずに器用に歩いているもんだ
さて、俺も彼ら、彼女らと同じように出来るのか
ゆっくりと人混みの中に入ると
すぐ様、OLだろうか
20代ぐらいの女性とゴツンとぶつかってしまう
「す・・すっすいません」
俺は咄嗟に謝るも、
女性は俺の存在など目もくれず
過ぎ去ってしまうのだ
また気を取り直して、歩き出すも
何人もの人に体をぶつけてしまうが
他の人は全く気にしないのか
さっさと行ってしまうのだ
凄い
これが普通の世界なのか
俺は圧倒されながらも
ようやく駅ビルの中に入り、
香水が売っている場所を探す事にした
しかし、中に入った瞬間すぐ後悔した
外とは違い、
ビルの中に入ると、
己が無防備になったような気分になるのだ
なぜだろう
外の時は開放感があったのに
いくつもの店が連なり
照明やきらびやかな飾り付けが
自分は場違いだと知らしめるのだ
視界も鈍く、色あせたものになり、
針のむしろのよう
こんなところに来るべきじゃなかった
調子に乗ってこんなところに来てしまったが
俺は引きこもりなんだ
一体全体俺は何を考えているんだ
俺は顔を真っ赤にし、
悪寒を感じながらも汗をびっしょりかきながら
下を向いて歩いていると、
突然嗅覚が刺激されたのだ
な・・なんだこれはあ
俺は顔をあげると
周りは白い壁で覆われた綺麗なところについていた
視界も一気に彩りを取りも出し、
世界がまた戻ってきような感覚
そう、いつの間にかコンロの売っている
化粧品売場についてしまったらしいのだ
俺はクンカクンカと当たりに漂う
甘い匂いを嗅ぎまくり
股間は熱い程勃起し、
そしてすーーっと思いっきり息を吸い込むと
ドピューーーン
っと店内でまたもや
ノーハンドで射精してしまうのだ
俺はぶるぶるぶると体を痙攣させ
快感に酔いしれ、じっくりと周りを見ると
綺麗な着飾った女性たちであふれている
ここは素晴らしい
天国だ
そして、天女に誘わるように売り場のお姉さんに近づくと
さらに嗅覚を刺激するような
甘い匂いが強くなってくる
それと伴って視界も臨場感に溢れ、
全てのものが鼓動しているように見えてくる
あぁ・・素晴らしい・・
この匂い、俺を覚醒させる匂いを
もっともっと嗅ぎたい
俺にもっともっと
生きる実感を味あわせてくれ
クンクンクン
俺は匂いを嗅ぐのに必死になりすぎたのか
売り場のお姉さんに接近しすぎて
「きゃああああああ」
と叫ばれてしまったのだ
「だっだっ・大丈夫ですぅ・・
あ・・あのコンロを買いにきたんでです
にっ二万もってます
えっレクチオンのごっ五番くっくださぃい」
俺はすぐさま財布から二万を取り出し
ガラスケースの上に置くも
「きゃああああああ」
とお姉さんは叫んでいる
しかし叫ぶお姉さんも何て素敵なんだ
嗅覚を刺激され、覚醒した俺には
お姉さんの怯えた表情すらも
美しく魅了されてしまうのだ
そして、俺はじっとお姉さんを
見つめているといつの間に青い洋服を着た
男二人に両腕を掴まれて、
どこかへ連れていかれようとしているんのだ
素晴らしいこのひとときを邪魔するな!
生きとし生けるもの全てを感じるこの瞬間を
邪魔されたくなく、離せと抵抗するも
次々と青い洋服を着た男達が群がってきて
そして、警察に引き渡されたのだ
警察では色々聞かれたが、
一番つらかったのは母親が来ていった一言だ
「あんな人達に息子を頼むんじゃなかった
あの二人組に、そそのかされただけなんです
警察のお世話になるぐらいなら
家にいてくれた方が良かった」
と母は怒りながら警察に訴えたのだ
違うよ・・母さん
あのブスだけど良い匂いのする女性のお陰で
僕の世界は素晴らしいものになったんだ
頃合いを見て、もう一度のお店に俺は行ってみようと思う
終わり
テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト
官能小説ワード : エロ小説官能小説