桃子は桃から生まれた。
お婆さんが近所の桃農家のお手伝いに行った時、
一際大きい桃があった。
「オヨネさん、こりゃなんじゃね?」
「あんれまー、これはなんじゃろねー。」
お婆さんと桃農家のオヨネは桃の木の下に落ちている
大きな薄紅色の塊を不思議そうに見つめていた。
お婆さんがクンクンと大きな薄紅色の塊の匂うと
桃の香り豊かな匂いがする。
「こりゃ桃じゃ、何と大きな桃なんじゃ」
「お婆さん、こんな大きな桃わしゃ気味悪くていらん。
どうか持って帰ってくれ」
「本当かい?後で返してくれっていっても返さんぞ?」
「言わん、言わん。ほらあそこにある荷台に積んで持って帰ってくれ。
今日の仕事はもう御終いじゃ」
「そうかね、じゃあこの大きな桃を貰っていくよ」
お婆さんは、大きな桃を一人でよっこらしょと担ぎ、
荷台に乗せて、家まで帰りました。
帰る途中に村人達から、「お婆さん何だね?その後ろの大きな塊は?」と
何度も問いかけられ、「桃じゃ!」というとそそくさと帰っていきました。
「お爺さんや~、お爺さんや~」
「なんじゃ」
玄関の扉を開けると、お爺さんがふんどし一丁で出てきました。
庭で水浴びでもしていたのか、白髪の髪の毛は
水で濡れていました。
「なんじゃその大きな塊はあああ?」
「こりゃ桃じゃね」
「こんな大きな桃あるか。わしをペテンにかけようたって
そうはいかんぞ。」
「なーに言ってるんですか。
お爺さんをペテンにかけたって1銭も儲かりますまい。」
「確かにそうじゃ。
わしは貧乏だからのぉ」
「そうじゃ、私ら夫婦は貧乏じゃ。」
「ふむ、それでこれは本当に桃なのか」
「そうじゃ、お爺さんも匂いを嗅いでみんしゃい」
お爺さんは薄紅色に染まった塊をクンクンと匂いました。
「桃じゃ!こりゃ桃の匂いじゃ」
「そうじゃろ。」
「よし、今日の晩御飯はこの桃にしよう」
「桃好きのお爺さんならそういうと思ってましたわ」
お婆さんは愉快そうに、土間にあがり、
包丁を持って、桃の皮を剥き始めました。
「あんれまー、何と柔らかい桃じゃ。
お爺さんやこりゃ手で剥けるわね。」
「本当か?」
お爺さんとお婆さんが素手で桃の皮を剥き始め、
そして大きな桃に被りつき、むしゃむしゃと食べました。
どのぐらい食べたでしょうか。
そろそろ種の近くだな、この大きな桃はどんな種をしているのだろうと
お爺さんが桃の実を解すと、中から真ん丸とした可愛い赤ちゃんが気持ちよさそうに
眠っています。
「ば・・・婆さんやああ。婆さんやあああ。
化物がおるぅぅぅ」
お爺さんは腰を抜かすと、
何を馬鹿な事をと、お爺さんの開けた穴を覗きみました。
「なんと珠のような赤子じゃ。お爺さんや可愛い可愛い赤子じゃ。」
お婆さんはそ~っと赤子を取り出し、抱っこすると、
赤子は気持ちよさそうに眠ったままお婆さんにニッコリ微笑みかけます。
「何と可愛い赤子じゃ。
ん?どうやらチンチンはついてないじゃ。
お爺さんや、この子は桃子です。
桃から生まれた桃子じゃ。」
「何を言うとる。桃の中に入っていた赤子じゃよ。
化物に違いない。」
「何を言うとるんじゃ。
桃の中に化物が入っとるはずなかろうに。
入ってるしたら天女さまとかその類のもんじゃろが」
「むむむむ、それじゃ・・・
この赤子はわしらに何か良い事をもたらすかもしれんのか?」
「当たり前じゃ。桃から生まれた女の子じゃよ。」
「そうか、そうだな」
子供のいないお婆さんとお爺さんは、
桃から生まれた女の子、桃子を大事に育てる事にしました。
続く
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